

先日、垂水での打ち合わせを終えた帰りに、ずっと気になっていた新垂水図書館を訪れてきました。整理券が配られていたほどの混み具合で、テラス席は17時までしか利用できないとのことで残念ながら入れず。それでも館内を歩くだけで、好奇心が刺激される場でした。
垂水駅前東広場に新たに誕生したこの図書館は、9月30日に開館。旧館の686㎡・68席から約2,200㎡・316席へと大幅に拡張され、蔵書数もおよそ12万冊になるとのこと。
外観は“裏がない建物” を目指した多正面設計で、どこから見ても正面になり得る佇まい。外壁には凹凸のあるセメント板が用いられ、光と陰影が複雑に変化する様子が印象的でした。
館内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが吹き抜け感と動線の設計。階段や通路が自然に視線を誘導してくれて、どこへ進むか迷いません。2階には一般書・新聞雑誌、3階には児童書・学習室が配置され、それぞれ用途ごとに落ち着いた空間がつくられています。窓際の読書席やキャレル席(※1)など、多様な居場所が用意されており、滞在の幅を持たせている点も素敵だと感じました。
特に興味深かったのが、蔵書と閲覧席の配置バランス。本棚を内側に、読書空間を外側に配置することで、直射光を避けながらも外の気配を感じられる設計になっていたことです。天井も高く、視線の抜けが確保されており、圧迫感がありませんでした。
ただ、少し心残りだったのはテラス席がもう閉まっていたこと。海や街、電車を眺めながら本を読む時間を楽しみにしていたので、次回こそ早めに来たいと思います。
公共施設における空間設計は、その街の“居場所”をつくることでもありますが、この新垂水図書館はまさにそうした“場”としてつくられているのを肌で感じました。空間をデザインする身として、ゾーニング・採光・素材選び・動線設計など、自分の設計にも通じる学びがたくさんありました。
※1) 主に研究・個人学習のために図書館の書庫・(開架)書架・閲覧室内などに設けられる個席
・閉館日:平日及び土曜日 10:00〜20:00 / 日曜及び祝休日 10:00〜18:00
(2025年10月現在)









