Office 神戸市


 神戸三宮の中心から少し離れた場所に建つ3階建のビルの1階。建築事務所やデザイン事務所は、路面という立地にあることは少なく、テナントビル内の一室に入っていることから、どこかクローズドで入りづらいイメージがあります。 そんなイメージを払拭したくて、開放的で道路に面している1階という区画を探していました。
 ここは、スケートパーク併設の「みなとの森公園」が近くにあったり、安藤忠雄建築の「こども本の森」や新水族館「atoa」ができたばかりの都市計画が進行中のエリア。
 仕事内容が、内装デザイン以外にモノ作りを始めることになった事がきっかけで、以前のオフィスでは広さが足りなくなり引越した先の13坪1室をオフィス兼アトリエに改装。
 自身がモルタルを活かしたデザインを軸としている事から、全体をコンクリートとモルタルで構築し、オフィスそのものがサンプルルームのようなものにしています。 だからこそ、オフィスを訪れたお客様に、モルタル加工の仕上がりや質感の魅力が伝わり好評。
 アトリエとオフィスは間仕切らず、一つの空間とし床の色と照明色、使用する素材で区切っています。
 オフィス奥の壁一面をスレンレス板で仕上げ、他の面はコンクリートとモルタルで構成。デスクテーブルは、自らデザインしたもので図面や資料を沢山広げても狭く感じないモルタル素材で作ったもの。照明は工業的なものを配することで、無機質でインダストリアルな空気感に。

 アトリエの床仕上げは、ドイツ製のモルタル材ホワイト色。土足で上がる床面に白色をチョイスすることはあまりないので、自社内であるからこそ、アイデアを形として実践でき、実験的なことも可能に。
 壁面から天井を廻る造作棚は、ため込んだ好きなモノや製作したアイテムとサンプルをディスプレイするためのもの。適当に棚板で固定しているように見えるが、ある一定の規則を持つ寸法で作られているから違和感がない。
二つの空間をフェンスで緩く区切っています。

左/壁をふかして窓周りの”だき”を深く作ることで、ミニ植栽スペースとしています。
中/家具を寄せると、スタイリングや撮影ができる広さを確保。
右/ヴィンテージのライティングビューロー。心地良い朝の光が差し込む温さを感じ取れる場所

左/アートを飾るかアーティストにイラストを依頼するか計画中の余白を残しているモルタル壁面。
右/朝の日差しや、夜の照明が美しく反射するステンレス壁面。

左/造作棚に埋まっている形としたモルタル仕上げの扉。
中/ドイツ製のホワイトカラーのモルタル素材で仕上げた床面。ところどころにグレー色を混ぜることで退廃的な雰囲気に。
右/セヌフォスツールの上にジェフ・クーンズのバルーン・ドッグをオマージュして作られたウォールナット製のプロダクト。

左/インドのサテン生地をランダムに縫い合わせて作られたソファ。
中/解体時に現れた打ちっ放しコンクリート壁面の前に、サイズ感ピッタリの厚み10mmガラス板を設置。
右/製作中の器やキャンドル、オブジェの一部。

《 BEFORE ▷ AFTER 》

オフィスという仕事場は人生で過ごす時間の中で、大きなウェイトを占めているので快適で働きやすい環境が望ましい。しかし、クリーンで整然とし味気のない空間では、生産性が上がるとは思えません。
 個人のこだわりや自社アイデンティティを反映した空間にすることで、顧客やスタッフの満足度を上げると共に、健康的な働き方につながると考えています。そこで働く人の気分が高まり、かつ来客された人の期待感も高まる空間がオフィスの理想。
 プライドを持って仕事に取り組むことができる環境作りをすることによって、生産性と質の向上が生まれると思います。