Shop 梅田


 「Billboard Live Osaka」は、大阪西梅田にある複合施設ハービスPLAZA ENTの地下2階に位置します。100年以上の歴史を持つアメリカ芸能メディアのブランドで、世界と日本のトップアーティストのライブを料理とお酒を愉しみながら味わえる都会的で高級感のあるライブレストラン。
 同ブランドは国内に3店舗構えており、それぞれのイメージカラーは東京が赤で、横浜が緑、そしてここ大阪が青との事。クライアントから「お店の顔でもあるエントランスホールをメインに店舗カラーである”青”を全面に打ち出したデザインに刷新して欲しい」といったリクエストをいただきました。同店は前身の「BLUE NOTE」からリニューアルオープンして16年目を迎える中で、その間内装に手を加えていないことから、どこか雑多でまとまりのない印象が見受けられました。
 そこで、訪れたゲストがエントランスからステージに進むにつれて、期待感と高揚感が入り混ざった感情へといざなう奥行き感のある空間設計を目指しました。

 この米国ブランド「Billboard』が創業された約100年前の1920年代まで時代を遡り、その背景にあった電球の発明と劇場の電気化が進んだ”ニューヨークのシアター”からのインスピレーションをデザインテーマとしました。当時のニューヨークの劇場の天井には数多くの電球が配置されており、その風景からデザインの着想をもらい、天井照明を青色のバブルランプでシアターのような配列で設置。
 次に、進んだエントランス奥の壁をセットバックさせた中に、石と鉄の素材で構成したボックスを埋め込みました。そのボックスの中には、1920年代のアメリカの繁華街で流行していたガスを封入したガラス管で製作されていた、当初と同じ工程のネオンサインでロゴを作り取り付けています。
 今回の設計で使用した大半のマテリアルは、マットでやや光沢のある黒の石材を床、スチールを天井にと限定的に絞ることで、ややもするとシンプルが故に単調になりがちな空間を、店のキーカラーである青の照明によって異彩な彩りを効かせた空間に仕上げています。
 艶やかで色気のある照明計画をするに当たって、日本では暗すぎると言われかねないギリギリの設定を攻めることで、1920年代のアメリカの雰囲気を今の時代感を持つアメリカっぽい空気感へとアップグレードさせています。

左/ネイビーとゴールドのベルベット生地で製作した緞帳。ライブを終えたアーティストが、この緞帳をバックに記念撮影するためのもの。